ある夏、友人がLevain Bakeryのオートミールレーズンスコーンをピクニックに持ってきた。それを食べて以来、わたしはこのスコーンの虜になってしまった。
Levain Bakery はマンハッタンのアッパーウェストサイドにある小さなベーカリーで、コニーとパムという二人の女性が「世界で一番美味しいチョコチップクッキーを作ろう!」と野心を抱いて1994年に始めたお店である。
彼女たちの野心はあっという間に実を結び、どっしり重いチョコチップクッキーはご近所でも一躍有名となる。
チョコチップクッキーはシグニチャーとなったが、それ以外にも中がしっとり半生の各種クッキーや、ふっくらしたマフィン、食べた後に爪の中まで舐めたくなるレーズンスティッキーバンもとても有名だ。
毎日そこで焼いたクッキーやスコーンだけを売っていて、お店の中にあるオーブンはフル回転。常に何かが焼かれているので、お店が閉まるまでその香りが途絶えることはない。
お店のほぼ真向かいに住んでいたわたしの友人の家に遊びに行くたびに、通りを漂う甘い香りで幸せな気分になったもんだ。それなのに、ピクニックで友人からスコーンを御馳走になるまでなぜかこのベーカリーに立ち寄ったことがなかったのである。
そんなわたしをあっという間に虜にしてしまったのがオートミールレーズンスコーン。
以来、友人の家に遊びに行くたびに必ずベーカーリーに立ち寄り、「また買ったの?」と言われるほど大ファンになってしまった。
このスコーンは絶品なのだ。
ぱくっとかじりつくや、唇の間でスコーンがほろほろと崩れ、噛み締めるとほんのりした甘味の中に時折パンチのきいたレーズンの甘さが現れる。
と、その中からミルキーな香りが口腔に立ちのぼり、鼻腔に抜ける。
「バターを丸かじりする女」という異名を持つほど乳製品好きのわたしにとって、まさに天国のような味。これぞ極楽!
近所に住み、同じZip Codeを共有していた頃は、スコーンが焼き上がる時間を見計らって半地下にあるキュートなベーカリーを訪れ、うきうきしながら順番を待ったもんだ。自分の番が来るまでに売り切れやしないかとハラハラしながら、5人も入れば満員になる店内で前の客越しにショーケースの中のスコーンの数を数える。
ようやく順番が回ってくるとすかさず「オートミールレーズンスコーンを1つ」と注文する。
店内にはカウンターとスツールもあり、焼きたてのクッキーやマフィンをコーヒーと一緒にぱくりと食べることもできるが、まだ温かいスコーンを受け取るや、それを頬張りながらまた家まで歩いて帰るのが習わしだった。
服にたっぷりスコーンのクズを付けながら。
だが、遠方に引っ越した今はそれができない。口の中に広がるミルキーな味を楽しむこともできない。
となれば、自分で作ってみるしかない!?
ラッキーなことに、数年前、Levain BakeryがオートミールレーズンスコーンのレシピをFood Networkチャンネルで明らかにしてくれている。
よし、これを元に作ってみよう!
材料を見ると、なるほどあのミルキーさの秘密はこれだったのかと納得する。
通常スコーンと言えば、水分としてミルクが使われている場合が多いのに、Levain Bakeryではハーフ&ハーフと呼ばれる生クリームを使っているのだ。
日本ではハーフ&ハーフは手に入らないので、文字通り生クリームとミルクを半々にして代用する。
また、無塩バターと塩を使うかわりに、冷蔵庫に常備している有塩バターを使うことにした。
作り方はシンプルだ。
まず乳製品以外の材料を大きめのボールに混ぜ合わせ、そこに大豆くらいの大きさに切って冷たくしておいたバターを入れてこねくり回さないよう大雑把に混ぜる。
そこに即席ハーフ&ハーフを入れる。
1)乳製品以外の材料を混ぜる 2)大豆大の冷たいバターを入れる 3)ざっくり混ぜる 4)即席ハーフ&ハーフも投入
またもや大雑把に混ぜ、1つにまとめる。
それを2センチくらいの厚みに伸ばし、型抜きして焼けば良い。
5)大雑把に混ぜる 6)1つにまとめる 7)2cmの厚みにする 8)12等分にして焼く
コツは2つ。
コツその1。予めバターを大豆大に小さく切ってよーく冷やしておくこと。
冷凍してチーズおろしでおろしても良いくらいだ。(ただ、その後のチーズおろしは洗うのがかなり厄介だが。)
コツその2。どの段階でも決して真剣に混ぜないこと。
コツ1でバターを小さくしてあれば、生地を伸ばした時にバターの粒が見えていても全く気にすることはない。
あとは気温や湿度によって水分量を調整するくらいか?
必要な水分量は作る日の気温や湿度にもよるため、即席ハーフ&ハーフは最初に200cc程度を投入してひと混ぜしてみれば良い。粉っぽくても大雑把にまとまればOKだし、全くまとまらず粉々であれば、残りのハーフ&ハーフを投入し、かろうじて1つにまとまるくらいにする。
それを打ち粉をしたまな板やのし台の上にドスンと置き、2センチくらいの厚さに伸ばして型抜きし(あるいはナイフでカットし)、オーブンで焼くだけだ。
こうして焼き上がったスコーン12個。口の中に広がるミルキーな香りを楽しみながら、あっという間にペロリと2個食べる。
「これは3日も持たないな」
その予想は見事に的中することになったのは言うまでもない。
Levain Bakeryのオートミールレーズンスコーン

自宅で焼いてみたLevin Bakeryのオートミールレーズンスコーン
Levain BakeryがFood Networkチャンネルで公開したオートミールレーズンスコーンのレシピをもとに、日本で手に入る材料でも作り易いようアレンジしました。
Credit: foodnetwork.com
食材
- 薄力粉 400g
- オートミール(ロールドオーツ) 200g
- 砂糖 150g
- ベーキングパウダー 大さじ2
- レーズン山盛り 1カップ
- 有塩バター 340g (大豆くらいの大きさに切って良く冷やしておく。冷凍してチーズおろしで粗くおろしても良い)
- 生クリーム 100〜125cc
- 牛乳 100〜125cc
手順
- オーブンを175℃に予熱しておく。
- ボールに、薄力粉、オートミール(ロールドオーツ)、砂糖、ベーキングパウダー、レーズンを入れて混ぜ合わせる。
- 1のボールに、大豆大に切ってよく冷やしておいたバターを投入する。
- 2を大雑把に混ぜる。決して真剣に混ぜないのがポイント。バターのつぶが見えているのが良い。
- 生クリームと牛乳を1:1で混ぜ、即席ハーフ&ハーフを作る。
- 5のハーフ&ハーフ200ccを4に混ぜる。決して真剣に混ぜない。粉っぽくても大雑把にまとまればよい。全くまとまらず粉々であれば、残りの混合液50ccを投入する。
- 打ち粉をしたまな板か、のし板の上に4を置いて手で一つにまとめる。その時、決して捏ねないように注意する。2センチ程度の厚さに広げて伸ばす。
- コップなどで丸く型抜きするか、ナイフで12等分に切り分ける。
- オーブンシートを敷いた天板か、薄くオイルを塗った天板に間隔を置いて8を並べ、予め175℃に温めておいたオーブンで15〜18分、こんがりきつね色になるまで焼く。
Information
Levin Bakery
Address: 167 West 74th Street, New York, NY 10023
Hours: Mon-Sat: 8am-7pm, Sun: 9am-7pm
オフィシャルWebサイト
ハーレムにもお店があり、季節限定だがハンプトンのショッピングセンターにもお店が出る
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