グレムリン・ドーナツの逆襲

ぽたり。ぽたり。

相棒の帰りを待ちながら読みかけの推理小説に没頭していたわたしは、誰も居ないはずの台所から聞こえるかすかな物音に気づいた。

ぽたり。ぽたり。

なにやら血の滴るような不気味な音がする。

だが、キッチンカウンターの向こうにある水道の蛇口は固く閉まっているし、天井を見上げても水漏れらしき気配はない。

「一体何の音だ?」

おそるおそる滴り音のする台所に近づき、中をのぞいてみる。

すると、台所の床のタイルに大きな血溜まり、もとい、油溜まりができているではないか!

長靴が欲しくなるサイズの油溜まりからつと視線を上に移すと、そこにあったのは大皿いっぱいにだらりと広がるグレムリン・ドーナツの死骸。

なんと、中華鍋一杯の油を吸い込んで巨大化したグレムリンは、その死とともに吸い込んだ油を体内から排出し始めていたのだ。

ぽたり。ぽたり。

血の滴るような不気味な音は、グレムリン・ドーナツから滴り落ちる油の音。滲み出た油は大皿から溢れ、キッチンカウンターに油溜まりを作り、そこからさらに溢れて台所の床に大きな油溜まりを作っていた。

台所の床に這い蹲り、少なくとも500mlはあろうかという大きな油溜まりを拭き取りながら、映画『グレムリン』の中で語られたモグワイを育てる3つのルールを思い出す。

  • 一つ、真夜中を過ぎたら食べ物をあげてはいけない
  • 一つ、水をかけたり、濡らしてはいけない
  • 一つ、光にあててはいけない

これを守らなければ、人はグレムリンに襲われることになる。

だが、「ドーナツを作る時に守らねばならないルール」はたった1つだ。

  • 膨らし粉入りの小麦粉を使う時は、決して膨らし粉を追加投入してはいけない

これを守らなければ、人はグレムリンドーナツに襲われることになる。
これ、ゆめゆめ忘れるべからず。

Top Photo by Khairul Onggon on Pexels.com

Sooim KIM 

面白い映画、演劇、ドラマを求めてあちこちをさまよいつつ、美味しいものを食べ、好奇心にまかせていろいろ作る。

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