うちで作るパスタ用のトマトソースはとてもシンプルだ。
オリーブオイルでニンニクを熱して香りを出し、そこにホールトマト缶とローリエを入れて煮詰め、塩胡椒で味付けするだけだ。
時にはここに鷹の爪を加えて辛味をつけることもあれば、バジルを散らすこともある。海鮮を入れて豪華にペスカトーレにすることもあるし、玉ねぎを加えてカリカリに炒めたパンチェッタを散らし、アマトリチャーナにすることもある。
でもベースとなるのはいつもこのシンプルなトマトソース。
レシピにするまでもない簡単料理だが、隠し味としてどの家庭にも必ずある、ある調味料をほんのひとつまみ入れることにしている。すると、あーら不思議、途端にイタリアで食べた本場のトマトソースの味になってしまうのだ。
「マリーザの隠し味」と友人から教わったのは、ほんの一つまみのお砂糖。
甘みを加えるためではなく、トマトの酸味をやわらげるために砂糖を指でつまんでちょっぴり入れる。友人はイタリアのマンマ、マリーザからそう教わったらしい。
北イタリアにあるミシュランの一つ星レストランで働いていたこともある相棒は、このマリーザの隠し味を加えた友人のトマトソースを初めて食べたとき、「イタリアで食べていたのと同じ味だ!」ととても感動していた。
以来、我が家では「Un po ‘di zucchero(お砂糖をほんの少し)」と呪文を唱えながら「マリーザの隠し味」をトマトソースに入れることにしている。
本当にほんのちょっぴり。
たったそれだけで途端にイタリアの味にかわるのだ。
シンプルなトマトソース

缶詰のトマトの水煮は保存のためにレモン汁等の酸が添加されていることがよくあるので、隠し味として一つまみの砂糖を入れると酸味が中和される。
もし生のトマトを湯むきした物を使う場合は、砂糖は入れなくても良いことが多いので、トマトの酸味で決めると良い。
*砂糖は甘みを加えるためではなくトマトの酸味をやわらげるためなので、甘みがつくほど入れないように注意。
食材
- ホールトマト缶 1缶(400ml)
- にんにく 1片
- オリーブオイル 大さじ3くらい
- ローリエの葉 1枚
- 塩胡椒 少々
- 砂糖 ひとつまみ弱
手順
- にんにくは包丁の腹でたたいてつぶすか、薄切りにする。真ん中の芽は焦げ付くので取り除いて捨てる。
- 平鍋にオリーブオイルを入れ、にんにくを入れてから火にかける。
- 香りが出てきたらトマト缶を汁ごと鍋に入れ、缶に少量の水を入れて中についたジュースを綺麗にし、鍋に開ける。
- トマトを木べらでつぶしながら煮込み、ローリエと砂糖を加えて弱火で煮込む。
- 15〜20分ほど煮込むとトマトが馴染んでソース状になり、オイルが浮いてくるので、塩胡椒で味を整える。
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