Ballのメイソンジャーでトマトソースを瓶詰め保存

大型台風がやってくる。そう聞いて万全の準備を整えた。

窓に養生テープを貼り、非常持ち出し袋の中身や、懐中電灯、乾電池、防災ラジオ、スマホのバッテリー充電も確認する。風呂桶に水を貯め、飲料水をたっぷり汲み置きし、食料品の備蓄もチェックする。

それが終わったら少し安心したものの、少しずつ強くなる風の音を聞いているとやはり不安が募る。

暴風雨で停電が予想されるし、ラジオでは今から握り飯を作っておけと言っている。よーし、こうなったら今のうちに保存食を作ってやれ!とスイッチを不安モードから料理モードに無理やり切り替えた。

とはいうものの、作った料理も停電になったら冷蔵庫で保存できない。そういう時に役立つのが常温保存できる瓶詰めだ。瓶詰めは家庭でも簡単にできるし、幸い今回使わずに済んだ場合は、向こう1年くらいそのまま保存できる。

ということで、今のうちに買い置きのトマト缶をパスタ用のトマトソースに変換しておくことにした。

わたしが瓶詰めのバイブルにしているのはこの本。

ケヴィン・ウェスト著 Saving the Season

Saving the Season というタイトルが示すとおり、「旬の野菜や果物を料理して、その季節を瓶の中に閉じ込める」というコンセプトの料理本で、美しい写真や素敵なイラスト、美味しそうなレシピがたっぷり載っているだけでなく、瓶詰めするときに重要なPHのことや役に立つ道具についても丁寧に記載された分厚い本だ。

アメリカでは Home Canning と呼ばれている家庭での瓶詰めに私がハマったのは、ケヴィン・ウェストのこの本に出逢ってからだ。

いつもはずっしり重いこの本を片手に旬の野菜や果物でピクルスやジャムを作ってはせっせと瓶詰めしているのだが、今回はトマト缶を使ってシンプルなトマトソースを作り、それを瓶詰めにすることにした。

瓶詰めはガラス瓶に入れて蓋をした食品をそのままお湯の中に入れ、熱処理しながら中の空気を抜き、それによって密閉して食品が空気に触れて痛むのを防ぐ保存方法だ。

熱処理時間は瓶の中に入れる食品の塩分・糖分・酸性度に左右されるが、この本に生のトマトで作るトマトソースのレシピとその熱処理手順が書いてあるので、熱処理部分をなぞれば多分良いはず。

Ball社のメイソンジャー

瓶詰めに便利なのが、日本でもここ数年流行して手に入りやすくなったBALL社のメイソンジャーだ。

Ball Mason Jar
2013年に限定発売されたブルー

サイズもデザインも色々あり、2013年から2015年には1パイント(約473ml)瓶の発売100周年を記念したヘリテージコレクションとして、毎年色違いでブルー、グリーン、パープルという色付きのメイソンジャーが限定発売された。

今年はBall社の135周年に当たり、ヴィンテージカラーのアクアブルーも限定発売されている。

もともと家庭でのHome Canning 用に作られたガラス製保存瓶なのでとても使いやすく、100年間使われ続けてきたのも納得だ。

構造は至ってシンプル。
本体のガラス瓶、蓋、リングの3つに分かれている。

リングは熱処理する時に蓋が取れないように押さえるためで、一旦熱処理して脱気すると、リングを外しても蓋が取れないようになっている。

Lid and Ring of Mason Jars
リングと蓋

リングを外して保存しておくと、万が一中身が傷んでしまった場合は中で発生したガスが蓋を押し上げて外してしまうので、中身がダメになっているものはすぐにわかる。

逆に、リングをキツく締めて保存しておくと、万が一中身が傷んでガスが発生した場合、逃げ場がなくなったガスが瓶を割ってしまうことがあるので注意が必要だ。

まず中身を作る

今回の瓶詰めの中身は我が家でいつも作っているシンプルなトマトソース。材料はトマトの水煮缶とニンニク、オリーブオイル、ローリエ、塩胡椒だけで、そこにイタリア人のマンマ、マリーザ秘伝の隠し味がちょいと入る。

今回はいつもの倍の量を作って全て瓶詰めにする。

基本作業は中身がジャムでもピクルスでもトマトソースでも同じだ。中身を火にかけている間に、熱処理の準備をすれば良い。

メイソンジャーと鍋を準備する

  1. まず、瓶が蓋まですっぽり浸かる高さのある大鍋に湯をたっぷりと沸かす。
  2. 湯が沸く間にガラス瓶、蓋、リングを食器用洗剤とお湯で綺麗に洗っておく。(ガラス瓶を煮沸して乾かしておく人も多いようだが、中身を入れてから後で熱処理するので、ガラス瓶だけを煮沸する必要は特にない。でも気になる人は煮沸消毒してももちろんOK。)
  3. ガラス瓶は中身を入れる時に熱い状態が良いので、洗った瓶は90〜100度に設定したオーブンの中で保温しておくか、沸いているお湯の中に放り込んで使うまでそのまま放置しておく。
  4. 蓋は使うまで沸いているお湯の中に放り込んでおく。リングは洗っておくだけで良い。
沸騰しているお湯の中で出番を待つメイソンジャー

瓶に中身を詰める

5. 中身ができ上がったら、レードルや広口漏斗を使って瓶に等分に入れる。この時、瓶も中身も熱いままをキープすることがポイント。どちらか一方、あるいは両方が冷たいと、熱処理にかなりの時間がかかってしまうので、熱い間に手早くしてしまう。

また、中身は瓶の口ギリギリまで入れず、必ず口から1.5〜2cm程度のスペースを空けておくことも重要だ。これは、熱処理中に中身が温まって膨張するため、「空き」がないと中身が吹きこぼれてしまうからだ。

中身を入れた瓶は口を綺麗に拭う

6. 瓶に中身を詰め終わったら、瓶を軽くトントンと叩いて気泡を取り除く。

7. 次に瓶の口を濡らしたペーパータオルで綺麗に拭う。瓶の口に中身が付いたままにしておくと、長期保存中にここからカビが発生することもあるので綺麗にしておこう。

8. 瓶の口を綺麗にしたら、蓋を置き、リングをはめる。
この時、リングをキツく締めすぎないのがポイントだ。最初の抵抗を感じるまで締めたら、小指を立て(そうすると力が入りにくくなる)、残りの4本の指先でもう一度だけでそっと締める。それだけで良い。

熱処理する

9. 大鍋に瓶が蓋の上まで浸かるお湯がたっぷり沸いていることを確認する。
この時、グラグラボコボコと煮立っていると危ないので、火を細めて静かに沸いている状態にしておくと良い。

10. 蓋をした瓶をトングなどを使って沸いているお湯の中に蓋を上にして静かに沈める。瓶の蓋の上まで完全にお湯の中に浸かる状態になっていることを確認しよう。

熱処理中のトマトソース

11. 瓶を沈めたら鍋に蓋をし、火を強めてグラグラと煮立て、中身が完全に熱くなるまでそのまま煮る。熱処理時間は瓶の大きさや中身の塩分、糖度、酸性度(PH)によって異なるが、今回のトマトソースは30分熱処理した。

12. 熱処理が終わったらすぐにお湯から瓶を出し、室温で冷ます。冷めていく間に中の気圧が低くなり、蓋が「ペコン」と小さな音を立ててへこむ。

13. 完全に冷めたら完成。リングを外しても蓋は取れないので、リングは外しておいても良い。トマトソースの場合、この状態でだいたい1年くらい保存できる。

蓋を開けるときは、テーブルナイフなどのエッジを蓋と瓶の間に入れて空気を入れるようにすると簡単に開く。

一旦開封した瓶詰めはなるべく早く使い切るのが良い。使い切れなかった中身はそのまま冷蔵庫に保存するか、フリーザーに使える容器に入れ替えて冷凍すると良い。

Top Photo by Ethan Sykes on Unsplash

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Sooim KIM 

面白い映画、演劇、ドラマを求めてあちこちをさまよいつつ、美味しいものを食べ、好奇心にまかせていろいろ作る。

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