「昭和レトロ」と呼ばれそうな建物からぬっと通りに突き出る看板は、白地に黒のゴシック体で「ブギウギ」と書かれているだけ。シンプルで潔く、それがまた美しい。
この看板を目にしたのは、ぴいかんに晴れたある夏の日の午後だった。
キンキンに冷房のきいた屋内から出て銀座の路地を歩いている時、真っ青な空を背にしたこの看板が目に飛び込んできたのだ。
看板が付いているのは鉄筋がむき出しになったコンクリートの壁。
おそらく、お隣の建物と壁で繋がっていたのに、隣の解体工事のせいで「ブギウギ」の建物も無骨な内面を一部さらすことになったのだろう。
白と黒のシンプルな看板が青空に映え、ゴツゴツしたコンクリートと黒茶けた鉄筋との対比がとても美しい。
なんだか、笠置シヅ子の明るい歌声が聞こえてきそうで、思わずブギウギのリズムで踊りたくなる。
でも踊るには暑すぎて、写真を撮るだけにした。