暖炉で燃える薪

心配事ばかりでなんだか気が滅入り、大好きな映画やドラマも見る気にならず、ジャズやクラッシック音楽さえうるさく聞こえる。そこまで疲れてしまうことってないだろうか?

そんな時わたしは暖炉に薪をくべ、パチパチ弾ける薪の音を聞きながら揺らめく炎のダンスを見つめることにしている。

ソファに座って足を前に投げ出し、温かいコーヒーの入ったマグカップを手に暖炉をじっと見ていると、もやもやしていた胸の内もいつの間にかすーっと落ち着き、おだやかな気持ちになっていくのだ。

とは言うものの、実はわたしの家には暖炉はない。
薪をくべられるストーブもない。

湯気が立ち昇るマグカップ片手に見つめているのは実際の暖炉の炎ではなく、世界のどこかで誰かが撮影した動画。

Photo by alex Lu00e1zaro on Pexels.com

初めて暖炉で燃える薪の動画に出会ったのは、今から15年前のクリスマスの頃だ。

ニューヨークに引っ越しして最初のクリスマスなので、それらしく飾り付けをしてやろうと近所のインテリア雑貨店で買い物をしていた時、店の一角にディスプレイされていた暖炉グッズを見つけた。

暖炉のある家に住みたいなとぼんやり夢見ていたわたしは、本物の薪や鋳物の火かき棒を見て嬉しくなり、その一角に引き寄せられた。

あれこれ手にとって「いいなぁ」と見ていたら、少々場違いな商品が一緒に陳列されていることに気付く。

真っ赤なパッケージに包まれたDVDだった。

表紙にはミッドセンチュリーなアンテナ付きのテレビが描かれ、画面の中で薪が燃えている。タイトルは Fantastic Instant Fireplace (ファンタスティック・インスタント暖炉)とある。

どうやら暖炉で燃える薪の映像が収録されていて、これをかければテレビがあっという間に暖炉に早変わりする、ということらしい。

薪が燃やせる暖炉に憧れていたわたしは「これは面白い!」と即決で購入。
家に持ち帰って早速テレビに映してみた。

すると、壁際に置いた四角いテレビのスクリーンは一瞬で暖炉に変身。テレビの中の大きなログが、オレンジ色の炎を揺らめかせながらパチパチと燃え始めた。

マンハッタンの小さなワンベッドルームアパートの中に突然暖かい暖炉が出現したのだ。

Photo by Pixabay on Pexels.com

映像は部屋を暗くするとさらにリアル感が増し、手をかざせば熱が伝わってくる気までしてくる。

「蛇に睨まれた蛙」と言うが、炎をじっと見ているとなんだか催眠術にかかったようになり、薪がはぜる音に心が鎮まっていく。

クリスマス気分を味わうためにと面白半分、憧れ半分で買った「インスタント暖炉」だったが、その魅力にあっという間にハマってしまった。

その年のクリスマスはナット・キング・コールのクリスマスアルバムをBGMに、暖炉に変身したテレビをたっぷりと楽しむことができた。

Photo by Hayden Scott on Unsplash

その後、クリスマスの時期以外にも夜更けに「インスタント暖炉」を出現させ、赤ワインやウイスキーを片手にゆっくりした時間を持つようになったが、最近は15年前に買ったDVDではなく、もっぱらYouTube上の動画で楽しむようになった。

YouTubeには燃える薪を映した動画が豊富にあり、シチュエーションも暖炉やキャンプファイヤー、ビーチでの焚き火など盛り沢山で、炎も静かに燃えるものからゴーゴーと唸り昇る空気を感じるものまでいろんなバージョンがある。

雷鳴と雨音付きのものもあれば、音楽付きのものもある。中には24時間ライブ配信しているもの、4Kの高画質のものあり、自分好みの「暖炉」が見つかるので、気分によって「暖炉」を選ぶこともできる。

最近のわたしのお気に入りはこれ。

煉瓦造りの暖炉の中で薪が燃える様子を12時間エンドレスで撮影した高画質動画だ。

頭を使う作業をしている時や夜中に書き物をしている時にこれをバックグラウンドで流しながら作業するととても集中できる。

心配事で目が冴えてしまって寝付けない時には、スマホのちいさな画面に映してミニ暖炉にし、枕元に置いてしばらく見る。すると心配事もいつのまにか忘れてしまい、穏やかに眠りにつけて気がついたら朝、ということもしばしば。

いつか自分の家を持つことができたら薪が燃やせる暖炉かストーブが欲しいなと夢見ているが、それまでは音と映像で暖炉を楽しむ予定である。

Top Photo by Stéphane Juban on Unsplash

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Sooim KIM 

面白い映画、演劇、ドラマを求めてあちこちをさまよいつつ、美味しいものを食べ、好奇心にまかせていろいろ作る。

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