ハロウィンに食べたい Ghoul at Heart の Bread of the Dead(死者のパン)

10月31日はハロウィンだ。

アメリカにいた頃はハロウィンには可愛らしいコスチュームを着た近所の子どもたちが「Trick or treat!」とやってくるので、毎年個別包装のチョコやキャラメルをたっぷり用意して待ち構えていたもんだが(そして余った分はわたしの胃袋に消えたもんだが)、日本では近所の子どもが来ることもないのでハロウィンらしい準備をする習慣はすっかりなくなってしまった。

そんな時、Twitterのタイムラインにホラー作家のスティーブ・ナイルズ氏のこのツイートが流れてきたのである。

「10月の料理のヒント」という言葉に添付されていたのはマッシュルームで作るされこうべの写真数枚。

白いボタンマッシュルームにストローで丸い穴を2つ開け、ペティナイフで鼻の穴と歯のラインをつけた髑髏たちで、なんだか子どもの頃に見たTVアニメ『ヤッターマン』に登場するドクロベーのような顔をしている。

このマッシュルームのされこうべを見た途端、すっかり忘れていた子ども心がくすぐられてこれを作ってみたくなった。

早速写真についているクレジットを検索する。するとLori Castellonさんという方のブログ、Castellon’s Kitchen に辿り着いた。

あいにくLoriさんは新ブログに引っ越したばかりのよう。すぐさまそっちに移動すると、コウモリが飛びまわるハロウィンをテーマにした新Webサイト Ghoul at Heart が目の前に現れた。

そこには数々のおどろおどろしいレシピやデコレーションがたっぷり。ネズミをかたどったケーキやら、目玉の串刺しやら、まるで指のようなソーセージを挟んだホットドッグやら、LAにいる姪っ子が見たら悲鳴を上げて喜びそうなレシピがてんこ盛りだ。

さーて、お目当てのマッシュルームのドクロベーは?と探してみると、あったあった! 「Bread of the Dead 」(死者のパン)というレシピの中でしっかり紹介されている。

Lori Castellonさんの新ブログ Ghoul at Heart のInstagramより

なんだか「誰も訪れない墓場に生い茂る雑草とそこにゴロゴロ転がるされこうべ」といった趣で、なんとも絵になる。「気分は墓場荒らし」といった意味になるLoriさんの新ブログタイトル「Ghoul at Heart」にもぴったりの一品だ。

じっくりレシピをみると、イカ墨とガーリックパウダーを練り込んだフラットブレッドの上にペストジェノベーゼを塗り、ペスト入りの緑のゴーダチーズを散りばめ、そこに薄切りのシャロットとガーリックと一緒にソテーしたマッシュルームの髑髏を乗っけてオーブンで焼き、仕上げにハーブをたっぷりあしらったものらしい。

それだけでも美味しそうなのに、そこにバルサミコ酢を煮詰めて蜂蜜を加えたソースをたらりと垂らすというのだから読んでいるだけでよだれが滴り落ちる。

レシピを見るなりこれは絶対作ってみなくてはと決意した。

幸いにもうちには少し前に輸入食料品店で買ったイカ墨があるし、カルディで買って以来気に入っているイタリア製のチューブ入りペストジェノベーゼもある。

Loriさんが使っている特別なペスト入り緑色のゴーダチーズは手に入りそうにないが、普通のゴーダチーズならスーパーで売っているし、マッシュルームとレッドオニオンも簡単に手に入る。ハーブはベランダ菜園でよりどりみどりだ。

「よーし!」てことで、我が家に数年ぶりのハロウィンフィーバーが訪れたのであった。

墓場の土に見立てたイカ墨入りの黒いパン生地

まずは墓場の土となるイカ墨入りのフラットブレッドを作ろう。

分量はLoriさんのレシピに従いつつ、作り慣れた捏ねないパンの要領も思い出しつつ生地を仕込む。(なんせ捏ねるのが面倒なので。)

要するに粉類(強力粉、ガーリックパウダー、塩、ドライイースト)を1つのボールで混ぜておき、液体類(人肌のお湯とイカ墨、オリーブオイル)を別のボールで混ぜ、この2つを混ぜ合わせるというやり方だ。(但し、Loriさんのレシピは1カップ=240mlのアメリカ式なので、そこんところだけ間違わないように注意が必要だ。)

Loriさんのレシピでは一つにまとめた生地を打ち粉をしたまな板で捏ねることになってるが、生地がかなりベタつくのでまな板で捏ねるのは避けてそのままボールの中で少し捏ねてボールにした。

あとは上からラップをふんわりかけてそのまま2時間放置し、一次発酵させるだけ。

2時間経つと見事に倍に膨らんだ。

ストウブで捏ねないパンを作ろう! Part 3」の経験から判断すると、この状態で冷蔵庫で数日保管できるはず。たぶん。

マッシュルームの髑髏

パン生地を一次発酵させている間にお待ちかねのマッシュルーム髑髏作りだ。

必要な道具はナイフと4〜5cmくらいの長さにカットしたストローと爪楊枝。

Loriさんはまずマッシュルーム1つにつき髑髏の顔を2つ作ってから半分に切っていたが、実際にやってみるとまずマッシュルームを半分に切ってから髑髏に顔を作ったほうがやりやすかった。

また、目をくり抜くストローは長いままだとくり抜いた分のマッシュルームが詰まって取れなくなってしまうので、爪楊枝で押し出せるよう4〜5cmにカットしてから使うことを強くお勧めする。

ストローを挿してぐりぐりっと回してから抜くと簡単に穴が開く

もう1点、鼻の穴と歯のラインはペティナイフで付けるとあったが、爪楊枝で引っ掻くほうが断然簡単なのでナイフより爪楊枝推奨だ。

鼻の穴と歯のラインは爪楊枝を使うと簡単

この髑髏作りがなかなか楽しく、あっという間にされこうべの山ができた。

大人がマッシュルームを半分にカットしておけば、ストローと爪楊枝を使って子どもも安全に楽しく髑髏を作れるんじゃないか?

されこうべの山

これを薄切りにした赤玉ねぎとニンニクと一緒にバターで炒め、白ワイン(レシピではシェリー酒だったが、無いので白ワインで代用)とタイム、塩胡椒で風味と味を付けて汁気がなくなるまで火を入れると骸骨のソテーの出来上がりだ。

ちょっと味見をしてみたがこのソテーがかなり美味い。

味見では済まず、思わずパクパク食べたくなるのをこらえるのが大変だったが、そこはぐっと我慢してこのままパン生地を焼く準備が整うまで冷ましておく。

死者のパンを焼く

次はイカ墨入りパンの二次発酵と整形だ。

二倍に膨らんだパン生地を4等分し、その1つを打ち粉をしたまな板の上に置いて四隅をつまんでビヨーンと引っ張る。その引っ張った部分を封筒の封を折るようなつもりで中央に向かって折る。これを四隅全部でやり、重ねた部分を下にして10分ほど二次発酵させる。(もし一次発酵の後冷蔵庫で保存していた場合は30〜40分ほど二次発酵させたほうが良いかもしれない。)

二次発酵が終わったらパン生地を薄く楕円形に伸ばし、クッキングペーパーの上に乗せて指先でつついていくつもヘソを作る。なぜヘソをつくるのかはよくわからないが、指でつんつんと凹みを作るのはなかなか楽しいので深く考えずにつんつん。

そこにペストジェノベーゼを塗る。

我が家で使っているのはチューブ入りのこれ。使いたい量だけむにゅっと押し出せるので重宝している。

この上にチーズをちりばめ、ソテーして冷ましておいた赤玉ねぎとマッシュルームのされこうべを乗せる。

あとはオーブンで焼くだけ。

焼き上がったらパセリやらオレガノやらタイムやらのフレッシュハーブを散りばめ、少し煮詰めたバルサミコ酢に蜂蜜をちょっぴり加えたソースを垂らせば出来上がりだ。

このマッシュルーム製されこうべがゴロゴロ転がる墓場ピザ、いやもう想像を絶する美味しさ。
とりあえず半分の2枚分を焼いたのだが、相棒と二人で奪うようにして食べ、あっという間になくなってしまった。

クラゲのようにも見えるドクロ

これは我が家の定番決定だ。

なーに、もしパン生地を仕込むのが面倒な時は、イカ墨入りのフランスパンを買ってきてオープンサンド風に楽しんでも絶対に美味しいだろうし、あるいは市販のマルゲリータピザの上にマッシュルームのされこうべソテーを乗せ、トマトソースを地獄の血の海に見立てても楽しい。

ハロウィンが過ぎてしまい墓場荒らしの気分じゃなくなったら、マッシュルームに細工はせずにそのまま使ったっていいのだ。

マッシュルームのソテーはそれだけで一品になる美味しさだし、パン生地もそのまま丸く整形してストウブ鍋の中に入れてオーブンで焼いても美味しいはず。

てことで、今年のハロウィンは墓場荒らしの気分になってせっせとマッシュルームにストローで穴を開ける予定である。

Information
Lori Castellonさんのブログ  Ghoul at Heart
’Bread of the Dead’ Recipe (英語)

Sooim KIM 

面白い映画、演劇、ドラマを求めてあちこちをさまよいつつ、美味しいものを食べ、好奇心にまかせていろいろ作る。

ハロウィンに食べたい Ghoul at Heart の Bread of the Dead(死者のパン)」への4件のフィードバック

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