先日、久しぶりに南青山まで足を運んだ。
ギャラリーで開催中の個展を観に行ったのだが、緊急事態宣言がまた延長されたばかりの平日だったせいか、人通りがいつもよりちょっぴり少ない。
これが2年前ならこの辺りはファッショナブルな装いに身を包んだ業界の人たちが闊歩していたのにと思いながら青山通りを歩く。
良いお天気なので視線がつい上に行く。するとカッコ良い看板が目に飛び込んできた。

BAR
手書きの文字をそのまま看板にしたような不揃いのラインと、Rの斜めのつっかえ棒がちょいと短いのがいい。
「へー、こんなところにバーがあったのか」
朱色に塗られた壁には素通しの小さな窓があり、スタッコ塗りのようなベージュの壁と白に黒のシンプルな看板がよく映える。
壁と看板のコントラストをじっくり堪能しようと少し建物から離れて見る。

よく見ると、壁の下の方、地面近くに小さなピンク色の看板がもう一つある。
PET BAR

小さな看板の脇には壁からにょきっと突き出した水道の蛇口もあって、「あー、なるほど。こちらはペット専用のBARか」と合点がいく。
非常事態宣言で酒類提供の「自粛を要請」されているせいで、人間用のBARは営業を控えて新型コロナウイルスの蔓延防止のために闘ってくれているが、ペット専用のBARは今もオープンしているようだ。多分。
看板から受ける印象通りの素敵なBAR。営業が再開されたら是非訪れてみようと思った午後だった。

Photo by Sooim Kim