長年使っていた箸がなんだかハゲハゲになってみすぼらしくなってきた。

ハゲは頭の方が特にひどくて、シミのように見える。
長さもそろわなくなって、減ってるほうの先っちょは丸くなっている。知らない間にかじって食べてしまったのかもしれない。
昨年金継ぎを再開した時に買った生漆がまだまだたっぷりあるし、消費期限が来る前になるべく使い切ってしまいたいので、このハゲハゲの箸を「拭き漆」で塗り直してみることにした。
「拭き漆」というのは木地に生漆を塗っては拭き、塗っては拭きを繰り返し、木目を生かしつつ仕上げる方法のことで、初心者が挑戦しやすい漆塗りらしい。
いくつも器の欠けや割れを直してきて漆の扱いにも少し慣れているので、表面積の少ないお箸なら初挑戦にぴったりだろう。
ついでに長さもそろえて新品の箸のようにしてやれ!
ということで、道具箱からサンドペーパーをごそごそと引っ張り出す。
まずは箸の表面に残ってる塗りをサンドペーパーで削り取ってしまい、長さも揃うように長い方の先っちょを削る。
2本が同じようなラインを描いて細くなっていくように削るのはとても難しい。でももともと長さが揃っていなくても気づかなかったくらいなのだから、「まあだいたいこんなもんでいいや」と適当なところで納得し、中目のサンドペーパーで削り、最後は細目のサンドペーパーで表面を滑らかにする。

お次は「木地固め」というやつで、希釈した漆をむき出しになった木肌に染み込ませて木地を硬く丈夫にする作業だ。
漆を同量のテレピン油で薄め、古い豚毛の絵筆でガシガシ塗っていく。
塗り終わったら表面に残った余分な希釈漆を古布で拭き取り、1日放置。
ちょうど梅雨どきなので特に「ムロ」に入れる必要もない。(多分)

翌日は1回目の「拭き漆」だ。
今度は希釈せずに生漆をそのまま塗り、拭き取る。そしてまた1日放置。
2回目以降はまず細かめのサンドペーパー(#1000を使った)でさっと表面を整えてから生漆を塗り、布で拭き取る。そしてまた1日放置して乾かす。
これを何度も繰り返す。
すると、最初は艶がほとんどなかったのにだんだんと艶が出てきて表面の色も濃くなってきた。

元の木肌の色が違うので、違う色になっていくのも面白い。
でもこれを何度くらい繰り返せば良いのだろう?
と思って調べてみると、どうやら5回以上は塗った方が良いらしい。なので5回を超えてからは納得のいく艶と色になるまでやってみることにした。

だいたい8回拭き漆を終えたところで「こんなもんかな」という色艶になってきたので、最後にさらにもう一塗りし、それを2週間ほど乾かして完成させた。
ハゲてシミのある長さのそろわなくなった箸が見違えるように綺麗になった。


これはもう他の箸も塗り直すしかないな。
素晴らしい☆ こんなに見違えるようにできるんですね!!!
うちのお箸もやっていただきたいw
気に入っているものをこうやって手入れしながら、長く使っていきたいものですね。
この技術は身につけたいなぁ。。。
いいねいいね: 1人
実は写真でBefore & Afterを見比べて、我ながら違いにちょっとびっくりしました^^
直して綺麗になるととても嬉しくなるのでやめられませんw
漆はかぶれが怖いので手袋はめて気をつけて作業しないといけませんが、それさえ慣れたら作業自体はとても簡単なのでおすすめですよ!
いいねいいね: 1人
こんなに根気強くできるか、、、自信がないですw
金継ぎや刺繍もお上手ですし☆
いいねいいね: 1人
ありがとうございます。でも実は根気は全然ないんですよ^^ 全て好奇心でやってます。
いいねいいね: 1人