9月の第一月曜日はアメリカのレイバー・デイという祝日で、多くのアメリカ人にとっては夏の終わりを意味する。
毎年この日が近づくと、どうしてもブルーベリー・パイのことを考えてしまうのだが、それは1986年の映画『スタンド・バイ・ミー』(Stand By Me)のせいだと思う。
映画はレイバー・デイの週末に死体探しに出かけた少年4人の冒険を描いていて、その中にブルーベリー・パイのグロテスクな描写が登場する(詳しくはこちらをどうぞ)。普通ならグロテスクすぎてそうは思わないのだろうが、私の場合、毎年この時期になるとブルーベリー・パイが食べたくなってしまうのだ。
今年もはたと気づいたらもう9月の第一月曜日で、「しまった! ブルーベリー・パイを食べなければ!」と思ったものの、どうも気分はなまぐさでパイ皮を作る気にならない。
「じゃあ」ってんで、代わりに簡単にできるブルーベリー・クランブルを作ることにした。
クランブルは、深皿の中に入れたフルーツの上に、ボロボロ状のクッキー生地のようなものを乗っけてオーブンで焼く料理だ。アメリカの南部料理であるフルーツ・コブラーにも良く似ている。カリッとしたクッキー生地の下から火が通ってとろっとしたフルーツが出てきて、出来立ての熱々のところにバニラアイスクリームやホイップした生クリームをたっぷり添えて食べるのがたまらなく美味しい。
ブルーベリーは冷凍のものがあるし、クランブル生地は材料を全部ボウルかジップロックに放り込んで揉み混ぜるだけなので、早速作ることにした。
材料
クランブル生地
・バター 100g
・ブラウンシュガー 50g(黒砂糖の砕いたものでよい)
・きび砂糖 50g
・薄力粉 100g
・アーモンドパウダー 100g(無ければ薄力粉80gでもよい)
*砂糖はお好みで、きび砂糖100gでも、ブラウンシュガー50gと白砂糖50gでも良い。白砂糖100gより、何かコクのある砂糖を使ったほうが美味しくできる。
ブルーベリーフィリング
・ブルーベリー(冷凍でOK) 350g
・砂糖 大さじ2
・薄力粉 大さじ1
・シナモン 微量
クランブル生地を作る
クランブル生地は砂糖と小麦粉にバターを混ぜてボロボロにしたものだ。
砂糖は白砂糖よりも黒砂糖やきび砂糖などコクのあるものを使うと風味が増すのでいつも黒砂糖ときび砂糖を半々にしているが、お好みで調整すれば良い。
小麦粉は半分をアーモンドパウダーにするとサクサクっと軽く仕上がって香りも良いが、無ければ小麦粉だけでも美味しくできる。
作り方は簡単。ボウルか大きめのジップロックの袋にクランブル生地の材料を全部入れて、バターが小さくなって粉類の中に馴染むまで混ぜるだけだ。ボウルで作る場合はフォークかナイフで小さくしていくか、それとも粉の中でバターを揉み潰すようにして小さくしていけばいいし、ジップロックで作る場合は袋の外から揉むと良い(あまり揉みすぎると焼いた時に固くなるのでほどほどに)。
今回はボウルに入れて作る。
バター以外の材料を全部ボウルに入れてざっと混ぜる。
薄力粉(左上)、アーモンドパウダー(右上)、きび砂糖(左下)、黒砂糖(右下) 粉と砂糖をざっと混ぜた
そこにバターをドスンと入れ、スプーンやナイフで適当な大きさにカットして小さくしていく。
バターをドスンと入れる バターを粉の中で小さくしていく
バターがある程度の大きさになったら、粉の中で潰すように指で揉みながら馴染ませると簡単だ。バターがだいたい小豆よりも小さくなって粉と馴染み、全体的にしっとりボロボロになったらそれでOK。

混ざったら、使うまで冷蔵庫に入れておく。
すぐに使わない場合はこのまま密封容器に入れれば冷蔵庫で1ヶ月くらい保存できる。
ブルーベリー・クランブルを焼く
まずはオーブンを180℃に予熱しておこう。
その間にオーブン用の深皿を用意し、そこに冷凍のブルーベリーをどさっと豪快に入れる。
霜がついているが気にしない。これをうっかり洗ってしまうと水っぽくなるので、決して洗うべからず。気になる場合は一旦網に入れて霜を振り落とすべし。
もしフレッシュなブルーベリーを使う場合はさっと水洗いして水をしっかり切っておこう。時々ヘタや茎がくっついていることがあるのでそれも掃除し、こちらも深皿にどさっと入れる。
ここに砂糖大さじ2を振り入れてざっと混ぜ、さらに小麦粉とシナモンを振り入れてざっと混ぜる。
シナモンは隠し味。ほんのちょっぴりだけ入れるとブルーベリーの香りが引き立つのだ。
砂糖と小麦粉一緒に入れてしまった… 砂糖と小麦粉とシナモンをまぶす
その上からクランブルの生地をまんべんなくふりかける。
量は適当に、お好きなだけ。
これを180℃に予熱しておいたオーブンに入れ、表面がカリッとこんがり綺麗な焼き色に焼けて隙間からブルーベリーのジュースが溶岩のようにふつふつと湧き出るまで焼く。オーブンにもよるが、だいたい30〜35分くらいだろう。
「あともう少しかな?」と思ってさらに5分焼いたら一気に焦げてしまったが気にしない。
熱々のところを皿に取り分け、バニラアイスクリームやホイップした生クリームを添えて食べる。

『スタンド・バイ・ミー』に登場するパイ食い競争の少年のように顔を突っ込んで食べると大火傷するのでご注意を。
ブルーベリー・クランブル

ブルーベリー・クランブルのバニラアイスクリーム添え
バターに砂糖と小麦粉を混ぜてボロボロにしたクッキー生地をブルーベリーの上にちりばめてオーブンで焼くだけで出来上がり。
クランブル生地に使う砂糖はブラウンシュガーときび砂糖を半々にしていますが、お好みでアレンジしてください。
ブルーベリーは冷凍を使うとお手軽です。焼くと水分が出てくるので、少しだけ砂糖と小麦粉まぶして焼くと出てきた水分にとろみがつきます。ブルーベリーはほんのちょっぴり隠し味にシナモンを混ぜると香りが引き立ちますが、なければ省略しても大丈夫。
クランブル生地は冷蔵保存できるので、作っておいて食べたくなった時に食べたい分だけ小さな器で焼くのもおすすめです。
熱々のところにバニラアイスクリームやホイップした生クリームを添えると最高です。
ブルーベリーの他にもりんごや洋梨、桃でも美味しいです。
特に桃は生で食べるにはちょっと水っぽいというとき、クランブルにすると美味しくいただけます。
食材
- 【クランブル生地】
- バター 100g
- ブラウンシュガー 50g
- きび砂糖 50g
- 薄力粉 100g
- アーモンドパウダー 100g 【ブルーベリーフィリング】
- ブルーベリー 350g(冷凍でOK)
- 砂糖 大さじ2
- 薄力粉 大さじ1
- シナモン 微量(ひとつまみ弱) 【トッピング】
- バニラアイスクリーム 又は ホイップした生クリーム 適量
手順
- クランブル生地を作る。ボウルかジップロックに薄力粉、ブラウンシュガー、きび砂糖を入れてざっと混ぜる。
- バターを8つくらいにカットして1に入れ(ボウルを使う場合はボウルの粉類に入れてからカットしても良い)、フォークか指でバターを小さな粒にしながら粉類と混ぜる。バターが小豆より小さくなり、全体に混ざってボロボロになったら使うまで冷蔵庫に入れておく。(すぐに使わない場合はジップロック等に入れて密封し、冷凍庫で保存する。)
- オーブンを180℃に予熱しておく。
- オーブンに使える深皿を用意し、ブルーベリーを入れる。(冷凍の場合は袋から直接でOK。フレッシュブルーベリーを使う場合はさっと洗って水分を切っておく。)
- 砂糖を振りかけてざっとまぶし、つづいて薄力粉とシナモンを加えてざっとまぶす。
- 冷蔵庫からクランブル生地を取り出して、5の上に均等にふりかける。
- 6を180℃に温めておいたオーブンに入れ、約30分、クランブルに綺麗な焼き色がついて隙間からブルーベリーのジュースがぐつぐつと顔を出すまで焼く。
- 熱々のところを皿にとりわけ、お好みでバニラアイスクリームかホイップした生クリームを添えて出来上がり。