暑い。もう9月だというのにじっとり蒸し暑い。
蒸し暑い時には特に熱中症対策のこまめな水分補給が欠かせないが、この夏、私が好んで飲んでいたのはキューカンバーウォーターだ。
キューカンバーウォーターはきゅうりの薄切りを水につけて香りをうつしただけの飲み物で、平たく言えば「きゅうり水」なのだが、これがどうしてなかなか美味い。
スポーツドリンクのように甘くなく、麦茶よりも爽やかで、ほんのり感じる甘味と青い香りにやみつきになる。
と偉そうに言っているが、実はキューカンバーウォーターを初めて飲んだのはこの夏のこと。これまでは何度勧められても「きゅうりの香りのする水」と考えただけで「いや、やっぱりいらん」と脳がやんわり拒絶反応を起こしていた。
多分それは子供の頃の記憶が強く残っていたせいだろう。夏休みにカンカン照りの中で遊んでいた時、祖母や母から塩をふったり味噌を塗った冷たいキュウリを1本渡され、それをポリポリとかじりながら遊んだもんだ。どうもその記憶が「胡瓜は塩か味噌をつけて丸かじりするに限る」と邪魔をして、「きゅうり水? 飲まない、飲まない!」と頭が頑固になっていたのだと思う。
ところが、この夏に大好きなテレビドラマ『ベター・コール・ソウル(Better Call Saul)』を最初から見返していた時、主人公がウォーターサーバーの蛇口からキューカンバーウォーターをガブ飲みするシーンを再び見て、ふと「ここまでするほど美味しいのかも」と気になり始めた。
気になったらもう試してみるまでおさまらない。恐る恐る作って飲んでみたところ、これが予想外に美味しくてびっくり仰天。たちまち今まで飲まずにいたのを後悔した。
水よりも麦茶よりも飲みやすく、すーっと飲める。なんというか、水分が五臓六腑に染み渡るような感じだ。
なんでこれを今まで飲まなかったのだろう?
てことで、キューカンバーウォーターはこの夏突然に我が家の冷蔵庫常備品となった。
作り方は簡単で、きゅうりを適当に薄切りにし、大きめのピッチャーに入れて上から水を注ぎ、それをそのまま冷蔵庫で冷やすだけ。

だいたい2時間も冷やせば香りが出てくるが、しっかり1日置いてきゅうりが全部下に沈むまで待つ方が美味しい。
一緒にミントの葉を数枚入れると爽やか度がアップするし、レモンやライムの輪切りを入れてもすっきりした味になる。

でも私はシンプルにきゅうりだけのキューカンバーウォーターが一番気に入っている。
主張しない控えめな味なので、食事のお供にも良い。
まだまだ残暑が厳しい季節、曲がって不恰好なものや実りすぎて激安セールになっているきゅうりを見つけたら一度試してみてほしい。
キューカンバーウォーター

「キューカンバーウォーター」こと、きゅうり水
たっぷりの水の中に薄切りしたきゅうりを入れて一晩冷やすだけで美味しいキューカンバーウォーターの出来上がり。
きゅうりから出たほんのりかすかな甘みと爽やかな青い香りが水に移って美味しくなります。
お好みでミントの葉を数枚、あるいはレモンやライムの薄切りを入れても美味しいです。
冷蔵庫で4、5日持ちますが、その前になくなるはず。
食材
- きゅうり 1本くらい
- 水 1〜2リットルくらい
手順
- きゅうりを薄切りにする。
- 大きめのピッチャーに薄切りにしたきゅうりを入れ、上から水を注ぐ。
- 一晩冷蔵庫で冷やして出来上がり。