無印良品ソファベッドのボーエ・モーエンセン化計画:カバーを縫う

これまでのおはなし
序章
生地選び


注文したリバコの生地が届いた。

早速包みを解いて生地をソファベッドの上に広げてみる。

薄いグレーの座面に濃いグレーの背もたれというツートンカラーはなかなか洒落ていて、我ながら良い選択をしたと悦に入る。

善は急げで、早速生地をカットして縫い始めよう。まずは大物のマットレスカバーからだ。

マットレスカバーを縫う

マットレス用のカバーはいわゆるボックス型のクッションカバーで、座面と底面の大きな長方形の布2枚をマットレスの厚みの幅のマチでぐるりとつなげて箱型にするという構造だ。

背もたれ側のマチは半分の幅のものを2枚用意し、中央にジッパーを縫いつけて開閉できるようにする。マットレスはそこから出し入れするという寸法だ。

パーツは5つ。簡単に図を描くとこんな感じになる。

基本的に全て長方形なので型紙は要らない。仕上がり寸法にぐるりと2cmの縫代を足し、布の裏側に直接線を引いてジョキジョキと裁断する。

縫い方やコツは、アメリカの椅子張り職人のチュートリアル動画を参考に事前にしっかり予習しておいたのでバッチリ(のはず)だ。

まず背もたれ側に来る半巾のマチ2枚にジッパーを縫いつけ、中央がジッパー開きになるマチを1つ作っておく。

次に座面と長い方のマチを前中央から半分縫い合わせ、また前中央に戻って残り半分を縫い合わせる。

前中央から縫い始めるのは、その方が一番目に付くフロント部分が綺麗に仕上がるからだ。

なんせ、布というのは糸と糸を織ったもの。
縫っている間に微妙にずれてくる。
もし後ろのコーナーから縫い始めると、対角線にあるコーナーを縫う頃には数センチずれていても不思議じゃない。ここは慎重に、前中央から縫うに限る。

コーナーに差し掛かったら、マチ裏面に垂直線を引いてコーナーの目印をつけておく。底面を縫いあわせる側の縫いしろにハサミで小さなノッチを入れておいても良い。これは、底面を縫い合わせる時に座面のコーナー・マチ・底面のコーナーの位置がピタリと合うようにするためで(図の点線部分)、ここが合わないと出来上がった時にコーナーがずれてねじれたように見えるのだ。

座面と長いマチが縫えたら、底面を同様に縫い合わせて本箱のような形にする。もちろん、前中央とコーナーの位置はピタリと合わせる。

最後にジッパーパーツを縫い付け、マチとジッパーパーツの端を縫い合わせれば出来上がりだ。

ジッパーパーツの端っこは簡単に作るなら仕上がり線でそのまま真っ直ぐに縫ってしまえば良いのだが、動画のアメリカの椅子張り職人がジッパーのつまみが隠れるポケット式にしていたのでそれを真似ることにした。

動画では職人がいとも簡単に縫っていたので簡単なのだろうと思っていたが、素人考えというものは恐ろしいもの。

こういう仕上げは初めてなくせに、用意したジッパーの長さが短すぎてポケットを作る部分がコーナーに重なり、椅子張り職人の縫い方とはちと違うやり方になってしまったのに、さほど気にせずに縫い始めてしまったのだ。

そのせいで「カーブになっているコーナーを綺麗に縫う」と「ジッパーの端部分をポケットに仕上げる」という少々難しいことを同時にやることになり、「少々難しいこと」がダブルになって「とんでもなく難しいこと」になってしまった。

結局何度も失敗し、3回も縫い直す羽目に陥ってしまう。

「こんなことならば、シンプルに端っこを縫い込んでしまえばよかった」

時々そう叫びながら三度目の正直でようやくポケット仕上げが完成した時にはもうぐったり。

微妙にシワが寄ってしまってかろうじて合格点という出来だが仕方ない。

無印良品ソファベッドのボーエ・モーエンセン化計画:カバーを縫う
ほんの2cmくらいの深さのポケット。おそらくもう二度とこの作り方はしないだろう。

サイズが大きいのと、細部でこんなややこしいことをしていたので、マットレスカバーを仕上げるだけで丸1日かかったが、目に付くフロントのコーナーは捻れず綺麗に仕上がった。

初めてにしては上出来だろう。

ただ、マットレスを入れてジッパーを閉じてみたら、若干カバーが大きい気がする。

おそらく、気持ち小さめに作るとシワもでなかったのだろうが、素人の初挑戦なのだからプロのように作れるはずがない。

シワもご愛敬で、もしあまり気になるようだったら後日微調整して縫い直せば良いということにして、出来上がったカバーをしばし愛でる。

若干のシワはご愛敬

背もたれクッションカバーを縫う

さて、お次は背もたれクッションだ。

背もたれクッションは両サイドが台形型になっている。その2つの台形が、長方形の布を橋渡しとしてつながっているという構造だ。

図にするとこんな風に3つのパーツにわかれる。

両サイドの台形部分は現物のクッションから型紙をとり、前面、上、背面、底はぐるりと一枚の長方形の布に裁つ。

長方形の布が底中央で合わさる部分にジッパーをつけ、そこからクッションの中身を出し入れする。

まずはそのジッパーから縫い付け、布の輪を作る。あとはこの輪の両サイドに台形パーツを縫い付ければ良い。

ここでも、要所要所(上の図の点線部分)が3つのパーツでしっかり合うよう注意して縫えば綺麗に仕上がる。

マットレスのジッパーで懲りたので、こちらのジッパーの両端はシンプルに内側に縫い込むことにした。ジッパーのつまみが隠れなくても、どうせ底面で見えないのだから問題ないはず。

仕上がったのを見ると、ポケットじゃなく縫い目になっている方がピシッとクリーンな印象だ。

しかも3回も縫い直す必要もなく、一発で綺麗に縫えた。

「いったい昨日の苦労はなんだったのか?」と思いつつ、「終わり良ければ全てよし」と自分を納得させて2つ目も作ってしまう。

そうやって出来上がったのがこちらだ。

なかなか良い感じに仕上がった。

あとはこれにボタンタフティングをあしらえば、無印良品のソファベッドがボーエ・モーエンセンのデイベッド風になるに違いない!

ボタンタフティング」につづく

Sooim KIM 

面白い映画、演劇、ドラマを求めてあちこちをさまよいつつ、美味しいものを食べ、好奇心にまかせていろいろ作る。

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